曲 面 / うねり
曲 面 / うねり
東大生産技術研究所の跡地に、今年の1月に開館した国立新美術館に出掛けた。
オープニングに合せて開催されている「黒川紀章展」も明日が最後日なので、慌てて行っ
て来た。
うねるガラスの曲面が開館当初より話題になっていたが、実際に見るとガラスのルーバー
に反射する自然光が、微妙に柔らかい表情を与え、奥行きのある空間を創りだしている。
ただ、ガラスのルーバー部分にはすでに汚れがたまっていたので、今後は下手にメンテナ
ンスするより、そのまま苔でも生やして、モコモコの壁面緑化にした方が、よっぽど「自
然との共生」になると思うのだが、どうだろう。
さて、「黒川紀章展」の方はいつもの建築の展示会とは客層が微妙に違ったようだ。
なにしろ、今話題の東京都知事選に立候補した建築家個人の展示である。
いつもなら、みるからに建築関係者や、建築の学生が、真剣に図面や模型を覗き込んでいる
風景をよく見かけるのだが、今回は同館で行われている他の展示から流れて来たのか、又は
はこの展示を目的に来たのかは分らないが、老若男女入り交じっている。
展示の一番最初は、小学生の時に大阪万博で見て子供ながらにそのユニークな形状に感動を覚えた、東芝パビリオンであり、その後の作品もパワフルな黒川氏の設計活動のオンパレードであった。
もっぱら、都知事選の話をしながら展示を見ていた、年配女性の2人組には、この展示会は
どのように感じたのであろうか?
2007年3月18日
龍口元哉建築設計事務所
Motoya Tatsuguchi architect